企業ロゴをいじるということ。
企業ロゴをいじって定型を崩すという行為は、とても勇気がいると思う。
例えば、ペンギンが登場する日本マクドナルドのアイスコーヒー/アイスティーのTVCM「100円」篇では、最後の「M」のロゴが涼しげな氷に包まれている。
背景も、いつもの赤色ではない。
サイバーテロと戦う映画『ダイ・ハード4.0』では、街を制御するコンピューターが乗っ取られるストーリーを象徴するように、本編前の「20th CENTURY FOX」ロゴを
照らす照明が全て消える。
他にも探せばまだまだ出てくるだろう。
テレビや映画に限らず、自社の企業ロゴをいじるという行為は、そこに大きな自信と余裕がないとできないはずだ。
通常は扱い方が細かく規定されているはずだし、そもそも定型状態のロゴ自体が世間に浸透していなければできない芸当だ。
(極端な話、いじった形が元の正しいロゴだと思い込む生活者も現れる恐れがある)
企業側の発案であれ、制作者側の提案であれ、自社の“顔”をいじる英断を下した度量はすさまじい。
こういった、受け手が心地よく例外を受け入れてしまう遊び心はとても大切だと思うし、感覚として大好きだ。
むしろ、単なる遊び心にとどまらず、受け手がストーリーに少しでも気分を寄せられるよう配慮された気遣いすら覚える。
個人的には、自分の好きな曲がサンプリングソースとして使用されて新たな命を吹き込まれ誕生した名曲を聴いた時の鳥肌感覚にとてもよく似ている。
規定を崩した瞬間に心に刺さるという場面は、日常の中にもゴロゴロ転がっていそうな気がする。
愛ある規定崩しを行う表現者の皆さん、いつもありがとうございます。
ダイソーの『ファイルに綴じて使える蛍光カラー極細インデックス』。
ダイソーで売っている、超細い蛍光カラーの付箋は重宝している。
5色展開で全部で600枚入りなのだが、とにかく細くて薄い。
素材は紙ではなく、フィルム状だ。
僕は本を読む時、ピンときた文章や言葉を見つけると、その箇所にマーカーを引いて、ページに付箋を貼る。
通常の付箋でも対応できたが、貼る箇所が多いと見分けがつきにくくなり、かつ本の厚みも増してしまうため、目印としての価値が低下することに気づいた。
そこで安くて薄くて細い付箋を探しにダイソーに向かったところ、巡り合った。
最も助かる点は、蛍光色のフィルム状であるため、貼った下の文字が透けて見えるところだ。
紙の付箋だと「あれ?この下何て書いてあったっけ?」といちいち剥がさないといけないが、この付箋はその心配はない。
貼られた状態で全てを再読できる。
唯一注意すべきは、付箋の束から1枚とりたい時に、薄すぎて2枚いっぺんに剥がしてしまうこともあるため、デリケートに扱ってやる必要があることぐらいか。
108円÷600枚=1枚あたり0.18円と、コストパフォーマンスも抜群だ。
ダイソーさん、いつもありがとうございます。
スズキ『ワゴンRスティングレー』のTVCMナレーション。
終盤に入る、CMナレーションの空気感が素敵だ。
「15秒の誘惑」篇、「30秒の誘惑」篇ともに、水原希子さんご本人がナレーションを担当されている(ように聞こえる)。
確固としたエビデンスは発見できていないが、おそらくご本人のナレーションで間違いないと思う。
赤を基調にしたCMは非常に挑発的だ。
使用されている楽曲は、Janis Joplin『Move Over』という曲を松尾レミさんという女性ボーカリストがカバーしたものらしいが、妖艶な雰囲気をより一層盛り立てている。
このCMに初めて触れた時、流れた直後は「やけに上から目線の軽自動車だな」と若干の嫌悪感を抱いた。
が、最後のナレーションで、一気にやわらかい気持ちになってしまった。
「ニューワゴンRスティングレー」の「レー」の発音がとてもやわらかく、挑発的な態度とは対極にある優しさみたいなものが感じられた。
映像と音楽のインパクトでガチガチに身構えていたところ、ふっと敵意の氷が溶解したような、そんな穏やかな心地になった。
気のせいかと思い、その後も注意してナレーションを聞き続けたが、やっぱり印象は変わらない。
これだけマイナス→プラスへの振れ幅が大きいCMも珍しい。
水原さんの天性のトーンなのか、監督さんの意向なのか、偶然の産物なのかはわからないが、僕にとって好感度が高いCMであることは間違いない。
水原希子さん、いつもありがとうございます。
フジテレビ系列『アウト×デラックス』のテロップ。
親指を突き立てた「out」のイラストとともに登場する、ツッコミテロップの文言がすごい。
出演者が話したセリフをなぞるテロップも普通に出てくるが、まとめ的な視点というか、神の目っぽく概括したテロップの言葉のチョイスがおもしろすぎる。
これぞプロの仕事という印象を持った。
考えている人(たち)は、よほどスマートだと思う。
フェードインしてくるBGMとともにアレがくるな、と予感させることもあれば、唐突にここできたか!と意表を突かれる場合もある。
予期していなかった場合は、スカッとした裏切られ感に包まれて、とても心地よい。
各回のゲストで呼ばれるのは、番組側が「アウト」と判断しオファーを受けた人たちらしい。
番組の構成上、「アウト」な人たちは一見さらし者のように映るが、実は各氏それぞれの分野で突き抜けている。
こんな情熱もあるのかと、僕はいつも感動して見ている。
ただのおかしな人たちではない、立派なエキスパートだ。
そんな人たちを発見するスタッフさんの慧眼も尊敬する。
アウト×デラックスさん、いつもありがとうございます。
千田琢哉さんが好きだ。
あのバシッと言い切るスタンスがたまらない。
文筆家デビューされてからまだ8年と経っていない現在(2015年5月時点)で、すでに100冊以上の本を出されている。
20代を中心としたビジネスパーソンに大人気だ。
本の構成はとても読みやすい。
だいたいどの本も章がズラッと並ぶ形で、本文はそれぞれ短くまとめられている。
エッセンスを凝縮してセンテンスを短くしようとすると、相当な技量がないと務まらない、と思う。
読点を駆使してダラダラダラダラ長文にするより、はるかに難しいはずだ。
それでいて、言葉がズッシリ心に沁み入ってくる。
ご自身のサラリーマン時代はかなりご活躍されたようだが、充分に納得できる。
とてつもなくリアリティをともなっていて、一語一語の破壊力がハンパではない、と僕は感じる。
千田さんのたくさんの本に、僕はとても助けられた。
特に仕事において、千田さんとの出会いがなければと思うとゾッとしてしまう。
3年ほど前に、本屋でたまたま、本当にたまたま、『20代で群れから抜け出すために顰蹙を買っても口にしておきたい100の言葉』(かんき出版)を手にしたのが最初だった。
タイトルが長すぎる、「顰蹙」という超難しい漢字がわざわざタイトルに入れられている、など不審な印象を持ったが、試しにパラパラと読んでみた。
おもしろすぎる!
P.228の答え「顔。」に、最も電流が走った。(他にも何十箇所で電流は走ったが)
言葉における究極は、1文字で心を動かせるかどうかだ。
経験に裏打ちされた“重い”言葉は、強く清々しい。
引続き、僕の本棚には千田さんの本が増え続けている。
千田琢哉さん、いつもありがとうございます。